葬儀に関わる仕事、と聞いて多くの人が思い浮かべるのは
「葬儀社の担当者さん」だと思います。
病院のお迎え
ご家族との打ち合わせ(=商談)
納棺
当日の式進行
…と、一人で全部やっているイメージが強いですが、
実際の現場はそんなにシンプルじゃありません。
むしろ今の葬儀は完全に分業制です。
(※この辺の構造については、詳しくはこちら →
👉 ブログ内リンク:プロ集団か連携ミスか葬儀の分業制の実態は?)
セレモニーレディ(セレモニースタッフ)という仕事
その分業の中で、式当日を支えているのが
いわゆるセレモニーレディと呼ばれる人たちです。
(最近は男性も普通にいます。もう“レディ”じゃない問題)
役割はとても明確で、
- 式前の記帳案内
- 会葬者の導線誘導
- そして最大の仕事が【焼香案内】
葬儀の「空気」を壊さずに、
でも迷わせずに、
流れを止めずに、
違和感なく人を動かす。
これ、めちゃくちゃ難しい仕事です。
派手なことは何もしていないのに、
上手い人ほど“存在感が消える”。
これがセレモニーレディのプロの仕事。
今はほぼ「派遣」に頼っている現実
会社によりますが、現実として今の業界は
👉 セレモニーレディ業務の多くが派遣依存
になっています。
理由は単純で、
- 人件費固定化リスク
- 繁忙期と閑散期の差
- 人材育成コスト
- 労務管理
このあたりを考えると、
自社雇用よりも派遣の方が合理的だからです。
結果として何が起きるかというと…
忙しい時期になると
各社でセレモニーレディの取り合いが起きます。
「今日は人が足りません」
「この枠、もう埋まりました」
「別会社とバッティングしてます」
現場あるあるです。
懸念①:現場力が育たない構造
昔の分業制の葬儀社では、
まず新人は
👉 セレモニーレディ的なポジション(サポート)から入る
そして、
- 担当者の動きを見る
- 式の流れを覚える
- 空気感を学ぶ
- トラブル時の対応を体感する
これを繰り返しながら、
少しずつ担当者としてのスキルを積んでいく。
つまり、
サポート=育成装置
だったわけです。
でも今は派遣化が進み、
- 社員がサポートに回らない
- 現場経験が積めない
- 担当者が“担当業務しかやらない”
結果として、
👉 担当者の総合現場力が育たない
という構造が生まれています。
「担当はできるけど、現場全体を見れない人」
が増えていく構図。
これは業界的に、わりと深刻な問題です。
懸念②:家族葬全盛時代の構造変化
もう一つの問題がこれ。
家族葬が主流になったこと
参列者が10人未満
受付なし
記帳なし
焼香案内もほぼ不要
という葬儀が増えたことで、
そもそも
👉 セレモニーレディが「いなくても成立する葬儀」
が増えています。
これは合理化としては正しい。
でも裏返すと、
- 現場の人材育成機会が減る
- 若手が現場を学ぶ場所が消える
- 葬儀の“技術”が継承されにくくなる
という副作用も生まれています。
セレモニーレディは「仕事」だけど「文化」でもある
セレモニーレディって、
単なる業務要員じゃないんですよね。
あの存在って、
- 葬儀の秩序
- 空気感
- 静けさ
- 流れ
- 礼節
を可視化する装置でもある。
だから人がいないと、
葬儀は成立しても、
👉 葬儀“らしさ”は薄れていく
という現象が起きる。
効率化・合理化・簡素化は正義だけど、
同時に文化は削られていく。
これは葬儀業界に限らず、
どの業界でも起きている現象ですが、
葬儀ほどそれが“空気”として表に出る仕事も珍しいと思います。
まとめ:消えていく仕事ほど、実は重要だったりする
セレモニーレディという仕事は、
派遣化され
簡素化され
必要性が減り
省略され
存在感が薄れていく
でも、
現場を支え
人を育て
空気を作り
流れを整え
文化を守ってきた
仕事でもあります。
効率化で消えていく仕事ほど、
実は業界の“基礎体力”だったりする。
これは葬儀業界の話ですが、
構造としてはどの業界にも当てはまる話かもしれません。


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