「あれ? クラクション鳴らさないの?」
先日、あるご葬儀のお手伝いをしていた時に、ご年配のご親族からこんなご質問をいただきました。
「昔は出棺のときに“プーッ”ってクラクション鳴らしてたよね?今はやらないの?」
確かに、ひと昔前までは霊柩車のクラクションが“最後の合図”のように鳴り響いていたものです。特にテレビで見る芸能人や政治家の葬儀(青山葬儀所など)では、あの音が印象的でしたよね。
でも、最近はほとんど鳴らさない。
なぜなのでしょう?
「クラクション禁止」は近所との約束から
もともとのきっかけは、セレモニーホールを新築する際に近隣住民と取り交わした“音”に関する約束事です。
「クラクションはちょっと……」という要望が出たことで、「ホールからの出棺時は鳴らさない」と決めたのが始まり。
そしていつの間にか、それが“習慣”として定着していきました。
今では、そうした近隣との約束がなくても、「当たり前のように鳴らさない」葬儀社が増えているんです。
「鳴らしたい(笑)」時ってあるの?
実は、「ちょっとは鳴らしてあげたい…」と思うご家族もいらっしゃいます。
その場合、たとえば自宅からホールへご搬送する際などに鳴らすケースは稀にあります。
でも、それも今は控える方が大半です。
理由はやはり、ご近所への配慮。
特に家族葬が主流になってきた今、地域の方に「知らせる」必要がないことが多いのです。
クラクションの意味は「ご近所への合図」だった
私が昔、先輩葬儀屋から教わった話があります。
かつて自宅葬が主流だった時代。
ご自宅から出棺する際に「いま家を出ましたよ」「見送りに出てこられる方はどうぞ」という合図として、クラクションを鳴らしていたそうです。
つまり、あれは“お別れの合図”であり、“地域へのお知らせ”でもあったんですね。
文化は、時代とともに変わる
家族葬が当たり前になり、葬儀の規模も小さくなっていく現代。
「クラクションを鳴らさない」という選択も、自然の流れなのかもしれません。
ちょっと寂しいような気もしますが、静かに故人を送るスタイルが今の時代に合っているのかもしれませんね。
まとめ
かつては「当たり前」だった音も、時代とともに静かに消えていく。
でも、それは“薄まる”のではなく、“新しい形の送り方”に変わっていっているのだと、私は思います。
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